コンデンサの比較
それでは前回紹介したコンデンサ(コンデンサ到着)をFENDER ROAD WORN ’60S ストラトで比較テストしてみようと思う。
使用するコンデンサは以下の5つ。
- フィルムコンデンサ
純正 0.1µF-250V
スプラグ ブラックビューティー 160P(4TM) 0.047µF-400V
(実測値約0.055µF)
スプラグ オレンジドロップ 418P 0.047µF-400V
(実測値約0.048µF)
- セラミックコンデンサ
ダイレクトロン(サークルD) 0.05µF-100V
(実測値約0.047µF)
- オイルコンデンサ
WEST CAP 0.033µF-400V[ハーメチック]
(実測値約0.031µF)
比較の下準備
実際にギターを弾きながら各コンデンサの聴き比べが出来る様に、純正コンデンサを取り外しらワニ口クリップを取り付けて配線をボディの外へ引き出し、この状態でストラトを元の状態に戻す。
これで簡単にコンデンサの比較テストが出来る。コンデンサを付けなければトーンスルー時と同等の音も確認出来るので、素の状態も把握し易い。
比較の前に一言
この記事を読んでコンデンサ選定の目安にする人もいるかと思うので最初に補足しておくと、
コンデンサで感じる音の差は、コンデンサの銘柄だけでなく容量や耐圧の違い、また他のパーツとの相性、ギターの個性、そして何より聞く人の好みなどによって捉え方が変わるものだと思うので、最終的な判断は「実際に付けてみて弾き比べた音が正しい」というのが私の持論である。
特にビンテージ、オールドなどの言葉が入ってくると、意図せずにも「ワクワク感」を抱くのが人情というもの(笑)。
なので、他人の評価はあくまでも参考程度として捉え、自分の大切なギターに取り付ける際はやはり取っ替えひっ替えで試行錯誤して貰いたいなぁと思う。
ちなみに今回のテストではできる限り先入観を持たず、感じたままのイメージで公平にレポートしようと思う。
コンデンサ比較
それでは比較結果を紹介しよう。
- 純正 0.1µF-250V
決して悪くないが、容量のせいかトーンを絞るとかなりコモる。
トーン0では音量も下がるので、トーンを操作するプレイでは実質的に使いづらい。
純正という事もあり、今回はこの音を基準とする。
- スプラグ ブラックビューティー 160P(4TM) 0.047µF-400V
(実測値約0.055µF)
ネームバリュー的にも結構期待していたが、今回の組み合わせではあまりこれといった良さは感じなかった。
と思っていたら、暫く時間が経つといい感じになってきた!うん、枯れた感じが良く出て、バランスも良く使いやすそう。クランチあたりで色気が出るイメージ。
ただ、まとまりはあるのだが甘い感じになるので、やはりレスポールなどが似合いそう。
トーン0でも抜けてくるが、もう少し音圧が欲しい。
- スプラグ オレンジドロップ 418P 0.047µF-400V
(実測値約0.048µF)
なかなかバランスが良く、トーンを絞っても低域が太く抜けてくる。
全体的に無難な感じで流石定番という感じ。
ただし、いまひとつキラリとするものがなく、面白みには欠ける。
「取り敢えず純正からグレードアップしたい」というニーズには適材だろう。
- ダイレクトロン(サークルD) 0.05µF-100V
(実測値約0.047µF)
これはやはりストラトに相性が良いという感想。
全域でバランスが良く、音も太く抜ける。
特にハーフトーンの鈴鳴り感の綺麗さが印象的。
今回の中では一番ストラトっぽい音質だが音の硬さとザラつきが若干気になり、どこか機械的で色っぽさに欠ける印象。
トーン0でもそこそこ音が抜ける。
- WEST CAP 0.033µF-400V[ハーメチック]
(実測値約0.031µF)
今回、最も印象的な結果を出したのがこれ。
ストラトっぽさという意味では少し違和感を感じるが、オイルコンだからか独特の艶というかウェット感があり、有機的で多彩な表情を見せてくれる。
強くピッキングすると「ポコッ」という太い音でアタック音が返ってきて、ピッキングでの音色変化が最も楽しめるのではないだろうか。
ただし、大音量時に音が暴れそうでコントロールが難しいかもしれない。
そうそう、以外にもハーフトーンも良かった。
トーンを絞った時は音抜け、太さ、バランスともに今回の中で一番で、0の時のコモり方は一番少ない。
この辺は他のものと容量の違いによる差が出ているのかもしれない。
総評
結果的に候補として残ったのはダイレクトロンとWEST CAP。
ストラトらしさと無難さではダイレクトロンだが、WEST CAPの色っぽさも捨て難い。
という事で、この2つをパラレル接続して使ったらどうなる?と思い、実験してみた。
結果は「お!なかなかでは?」と感じるものがあり、微妙ではあるが単体での使用に比べて音のハリやハーフトーンの響きに差を感じた。
しかし、容量が大きくなるせいかトーンを絞った時は単体に比べてかなりコモり気味で線も細くなる。
普段トーンを絞る事がないが、せっかく付け替えるんだから、これからは積極的にトーンも使ってみよう。
という事で、WEST CAPのオイルコンを暫く使ってみる事にした。
コンデンサを「高域を削るだけのもの」として音質や組み合わせの変化に否定的な意見を言う人もいるが、今回の実験の結果としては明らかに音は変わるというのが事実である。
またギターはよく「個体差」と表現される様に、同じ仕様のものでさえ音の感じ方には差が出るもの。つまり、数値的なスペックや科学的な根拠だけでその「出音」を決めつける事は難しい。
なので、気になる事があったら実際に自分のギターに付けて音を出してみる事でしか答えは得られないと思う。
パラレル仕様に関しても、セオリーに捉われず新たな発見のつもりでいつか遊んでみようと思っている。
本当にあなたの記事は面白くてためになります!
楽器って面白いです
垣内さん、コメントありがとうございます。
このブログでは、自分がギターを拘るにあたって色々と得た情報や経験を備忘録的に書き留める事、そして何気にギターに接してきた人が楽器の奥深さに気付く何かしらのきっかけになってくれる事を願って書いています。
音の世界は理論や理屈だけで正解や間違いを説く事ができず、まずは何より自分が気持ち良いと思える事、これだと思っています。
なので、ここに書いてある事も何かしら皆さんのきっかけとなり、色々と自分の楽器と向き合ってくれればとてもうれしいです。
最近は執筆をサボってますが、実は書きたい面白いネタが沢山あります。
落ち着いたら少しづつアップしようと思うので、今後も宜しくお願いします。
ギター好きな方が一度はハマるコンデンサーの泥沼の世界、いや奥深い世界ですね。
私も両方のコンデンサー試してます。現在手持ちのストラトとテレ20本程には
全てサークルDの50Vと100VをマウントしてミニSWで切り変える様に改造しています。
50Vの方が落ち着き感がありますが100Vのバリバリ感は如何にもフェンダーで
ツイン・リバーブとの相性はダントツですが、フェンダーすぎて個性が強すぎますね。
バックで弾くにはもっと落ち着いたしゃしゃり出ないトーンになるコンデンサーを付けたい処です、
そこでオイルコンも付けて3つのコンデンサーをミニSW2つで切り変える様にして鳴らしてます。
①サークルD 50V ②サークルD 100V ③オイルコン又は錫箔
フジ・エスコンもサークルDとオイルコンの中間でなかなかよろしいです。
KCKはスッキリしすぎですがテレのリードPUSのアクの強いアタックを押さえて鳴らすには向いてます。
せっかくですからサークルDとWEST-CUP両方を乗せてミニSWで切り変える様にされたらと思います。
使用されるアンプやエフェクターによってコンデンサーがチョイス出来ますよ。私と同じことをやっている
人は見た事がありませんが・・・音作りに長けたGibson355のバリトンSWが人気無いのと同じかな^^
コメントありがとうございます。いやぁ、私じゃ足元にも及ばないくらい沢山の経験をお持ちの様で、勉強になります。
最近記事を書くのをサボっておりますが、実はその後アンプや機材周りの環境が大きく変わり、ギター以外に時間とお金を費やす日々が続いております。
でも、またコンデンサも変えたいなと思っていたので、オイル、セラミックと続き、ペーパーを試そうかなと考えていたところです。
スイッチでの切り替え、楽しそうですね。また色々と教えて頂ければとても嬉しく思います。私も頑張って記事を書きたいと思うので、今後もよろしくお願いします。