トレモロ・ユニット、ボリュームポットの交換
それではいよいよトレモロ・ユニットとボリュームポットの交換作業に入ります。
ギターは前回紹介したFENDER ROAD WORN ’60S ストラト。
今回の変更箇所は以下の通り。
- サドル交換(弦間ピッチとサドル幅が合っていない為)
- イナーシャブロック交換(ダイカスト→スチール製へ)
- アームのガタツキ改善
- ボリュームポット交換(8〜10で極端に効くので滑らかなカーブへ)
- ストラップ・ピン交換(シャーラーのロックピン対応化)
上から3つのブリッジ周りはトレモロ・ユニット毎交換します。使用するのはFREEDOM CUSTOM GUITAR RESEARCH製のSP-ST-01。
トレモロスプリングはRAW VINTAGE製のRVTS-1に替えてあるので、このままでいく予定。
ボリュームポットはCTS製のカスタムA250。
トーンポットやサーキットの配線材、コンデンサも丸々換装したかったんだけど、今回はボリュームポットのみの付け替えで、配線材も純正のまま。
ストラップ・ピンは純正タイプが渋くていいかなと思ったけど、他のギターが全てシャーラーのロックピンに替えてあり、当然ストラップにもロックピンが付いているので、ストラップとの相性の問題で付け替える事にした。
SCUDから発売されているEP-13Cという奴で、シャーラーロックピンに対応するストラップ・ピン。
要はシャラータイプのギター側のピンだけというもの。
これ安上がりでとっても重宝する。
では早速交換の様子。
まずはトレモロユニット。
左がFREEDOM、右がFENDER純正。
交換目的のひとつである「弦間ピッチとサドル幅が合っていない」についてだけど、ご覧の通り純正はサドルとサドルの間に隙間があるでしょ?
弦間ピッチは11.3mm(11.2mmかな?)なのに、サドル幅は10.8mm(11mmかも)という何とも解せない仕様・・・
これ、現行USA VINTAGEシリーズの仕様らしいんだけど、他モデルとの互換性とかコストとか、その辺の事情かな?
音への影響についてははっきりした事は言えないが、チューニング面でも良い事はなさそうだし、精神衛生的にも要改善。
で、FREEDOMのサドルは11.3mmピッチでバッチリ!
それから前回書いたが、FREEDOMのはベースプレートの弦出口の穴にテーパー加工がしてあり、弦を張った時に穴の縁に掛かる無駄なテンションを軽減する工夫がされている。
これによりチューニングの安定に貢献するらしい。
また、サドル中央部分の弦を通す穴の長さが若干長く設けられている。
これは、従来のものでは太いゲージの弦を張った時に、サドルを限界まで後ろに下げてもオクターブ調整領域が足りずピッチが合わないという問題への対策で、サドルの可動領域を広く取れる様にしてあるらしい。
更に、通常の穴の長さだと特に6弦側の様にサドルが比較的後ろ側にある場合、サドルトップ(弦が乗っかる部分)からベースプレートの穴まで弦が落ちていく途中で、サドルの穴の長さが足りずに穴の端の部分が弦に干渉する事があるが、FREEDOMのサドルだと穴が長い為に弦が途中でサドルに触れる事なくブロック穴へ落ちていく。
これはチューニングの狂いや弦切れ対策に貢献していると思う。
でも・・・
FREEDOMはギラギラしたクローム仕上げで「デビューしたての新人ですっ」て感じなのに対し、純正は落ち着いたニッケル+適度なレリック具合で風格があり、見た目はこっちが好みなんだけどね。
次にイナーシャブロック。
左がFREEDOM、右がFENDER純正。
FREEDOMはスチールブロック、純正はダイカストに塗装が施してある。
FREEDOMのは最近流行り?のビンテージ同様に弦止の穴が浅いタイプで、テンション感が変わることからプレイヤビリティや音色への影響があるとの事・・・
ただ、写真では判りづらいが、純正の穴も結構浅めだったので、テンションに関してはあまり変化を体感出来ないと思う。
で、ポイントとなる重量は以下の通り。
- FREEDOM製 374g
- FENDER純正 320g
当然スチールブロックになった分だけ重くなるとは思っていたが、純正がこれ程軽いとは思わなかった。
これは変化に期待出来そうな感じ。
写真にはないが、アームのガタつきも純正と比べてかなり改善されたし、テンションスプリングを使う必要もなさそうなので好印象!
次にサーキット周りをチェックしてみよう。
これがピックガード裏の純正サーキット周りの様子。
シールド処理はなし。
期待してなかったが、ポットは全てCTS製のAカーブだった。
コンデンサは104(0.1µF)のフィルムコンデンサで効きは強め。
ボリュームはツマミの8〜10で変化が激しくちょっと使いにくいので、全域での滑らかな効きを期待してCTSのカスタムA250へ換装決定。
(但し、トルクはかなり重くなる。自分の場合は比較的重めが好きなので問題はないが、ちょっと重すぎるかな・・・という感想。トルクは中のグリス調整で改善出来るが、今回はそこまではやらない)
純正サーキット周りの全体的な印象としては、比較的太い配線材を使用していたり、きちんと端子に絡めた後でのハンダ付けなど、仕事は割りと丁寧な印象が持てる。
ピックアップセレクターは今のところ不満はないので、暫く様子を見てみよう。
ちなみにこのモデル、ピックアップはTEX MEX。
中域が強く、テキサススペシャル系のキャラ。
ピックアップは不満が出ない限りこれでOKかな。
なかなか音も良い。
だが、今回たまたまピックアップカバーを外してボビンを見てみたら・・・
コイルの巻き方が荒かったのが気になる。。。
さて、それでは早速ボリュームポットを外して、配線外して・・・
先にも書いたが、今回はボリュームポットのみの付け替えで配線材もそのまま流用なんで、とにかくポットだけ付け替える簡単な作業を予定していたが・・・
う〜ん、折角だから配線の取り回しくらいは綺麗にしておこうと思い、結果はご覧の通り。
ハンダの未熟さはさておき(汗っ!)、なかなかスッキリしたでしょ?
ここまでやるなら、サーキット全般一気にやれば良かった。
まぁ、変化を少しずつ感じながらのお楽しみという事で。
どうせノイズ周りの処理もやらないといけないしね。
という事で、ストラップ・ピンも付け替えて、弦張って、各部の調整して完了〜!
お疲れ様でした。
まだまともな音出しはやってないけど、ひとまず気分的に落ち着いたー!
音の変化や使用感についてはまた今度。
ではでは。
この結果のその後に興味があります。
私自身はその比較において純正の方が
温かみや心地よい感触があって良いと
思いました。メキシコ製の音がどれを
弾いてもこなれた感じがあるのはここ
にポイントがあるのだと思っています。
FCGRの方は無機質な感じがしました。
スペックやフィックス感は後者のほう
が確実に上にみえますが。
クロヒツジさん、コメントありがとうございます。
さて、トレモロ・ユニットのその後のインプレッションですが、私として一番のポイントは「チューニングの安定」ですかね。
音質改善が一番の目的でしたが、実はこのチューニングの安定感が多大に貢献度が大きいように思えます。チューニングの安定感は単に製品の質だけではなく、セッティングが肝だと思いますが、やはりこのユニットによる効果は感じますね。
自分はセッティングも追い込んだので、今はほぼ狂いません。
それからブロックの鉄とダイキャストの差ですが、これは好みだと思います。
どちらが良いというよりは、そういった響き方が自分の好みに合っているかという判断になるでしょう。
エレキ・ギターは電気を使う事情でそのパーツ類も様々あり音にも影響しますが、シンプルに捉えると木と弦を使った楽器です。
この一番シンプルな構造において、如何に音楽的で楽器的な響きをするかがとても重要に思います。
アンプや機材を通す前の生音で、その個体が持つ最大のポテンシャルの響きをしているか・・・
なので、最低でも弦とボディの接点となる部分には気を使いたいですね。
ナット、サドル、トレモロ・ユニット(スプリングなども含めて)、ペグ・・・
もちろん弦やピックアップも大切だし、ボディやネックの質・状態も大事ですが。
本当はポーーーーーンとなる実力があるのに、パーツの材質やセッティングのせいでポーーンで音が途切れてしまっているかもしれません。
先ほども言いましたが、パーツの質以上にセティングがとても重要に思います。
極端に表現すると「セッティング=実力を引き出す」「パーツの品質=好みの音にする」というイメージですかね。
長くなりましたが、そういう意味でも今回のトレモロ・ユニットはチューニングの安定に貢献したので、このギターを楽器としてより好ましいものへ格上げしてくれたと思っています。
クロヒツジさんのご意見「メキシコ製の音がどれを弾いてもこなれた感じがあるのはここにポイントがあるのだと思っています。」ですが、あぁ、なるほどと感じますし、こうした判断は鋭いなと思いますね。
余談ですが、見た目的にこなれた感じが好きなので、レリック感が全く出せないのが難です(笑)。