BIAS DESKTOP

以前から気になっていたPOSITIVE GRID社のアンプシミュレータ BIAS DESKTOP。
価格もそれなりだし、iOS版のBIASとJAM UPは既にほぼフルコンプリート状態で揃えているので、DESKTOP版に改めて高い投資をするかどうか非常に悩んでいたのだが、やはりどうしても欲しくなりProfessional版を購入してしまった。価格は購入時点で$174(通常は$199)。

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購入の決め手はもちろん音。
LINE6のSONIC PORT VXを導入したついでに、BIAS DESKTOPのデモ版をMacにインストールして暫く使ってみたのだが、その生々しく色気と艶のある音質は、これまで自分の中でマスト的存在だったiOS版のBIASを明らかに凌駕するポテンシャルだった。

使っているインターフェイスがSONIC PORT VXという事もり、iOS上ではLINE6のMOBILE PODも無償で使えるので(有償でOKであればMOBILE PODでも他社製インターフェイスを使用する事が可能)こちらもようやく試してみたが、残念ながら自分にとってはやはりMOBILE PODはシミュレータの域を超えてはいないと感じた。
もちろん音は良いしこの分野で間違いなくトップクラスのポテンシャルは持っているんだけどね。
残念ながらシミュレータ臭さを感じる点は否めない。

これに対し、BIASはiOS版・デスクトップ版の双方とも直にアンプを鳴らしている様な生々しさがある。
自分がBIASを使う場合はメーカーデフォルトのまま使う事は殆どなく、少なからずアンプ内部に細かく手を入れてカスタマイズしており、また実際にアンプに繋げた状態でスピーカーから出力させているのだが、BIASが他製品よりアンプらしさを感じさせてくれるのは、この「アンプを造り上げる」というBIAS特有の機能が大きく貢献していると感じる。

実際、MOBILE PODや他のアンプシミュレータ同様にアンプのフロントパネルのツマミのみしか調整出来なかった場合はBIASでもここまでアンプらしさを感じる事は出来なかったかもしれない。

そういう意味では、細やかなセッティングやカスタマイズを好まないユーザにとってアンプビルダー的思想であるBIASという製品は逆にお手軽感がないのかもしれない。

しかし、求める音にそれ相応の拘りを持つ者にとって、BIASは限りなく手軽にその希望を叶えてくれる強力なツールである。
特にクリーン〜クランチなど、弾き手の感情に応じてギターを囁かせたり唸らせたりする事ができるプレイを求めるギタリストにとって、その幅のある表現が出来るアンプを入手するのは費用面からもなかなか困難であり、また手に入れたとしてもそのポテンシャルを発揮できる程の音量で鳴らす事は現実的に難しいものだが、BIASならMac or Win またはiOS製品と接続インターフェイス、そしてPA的位置づけの素直な特性のアンプがあれば、銘機と呼ばれる憧れのアンプ達を何時でも自宅で鳴らす事が出来る。

今やひと昔前の「〜臭さ」という簡単な言葉でシミュレータを否定する時代ではなくなった。

もし機会がある人は、是非試して欲しい。
そして適当でいいからアンプ内部を色々と触って貰いたい。
特にピッキングの強弱やボリューム操作でクリーン〜歪の変化があるクランチ程度にして、その反応を聞いて貰えれば分かりやすいだろう。

尚、個人的な意見だが、シミュレータに当たり前の様に備わっている「ノイズリダクション」。これは可能な限り使わない事をお勧めする。セッティングや機材周りの見直しで対処しよう。

ちなみにBIASのiOS版とデスクトップ版の違いについてだが、 DESKTOP版のアンプマッチ機能(後述)以外は表向きの機能は同等だが音質はデスクトップ版の方が良く、よりアンプらしさを堪能できる。

BIAS DESKTOPの通常版とPRO版の違いについては、以下の様な違いがあるが使用目的に応じて選べば良いと思う。基本的に音質は同じ。
違いは、プリアンプ、パワーアンプ、イコライザ、スピーカーキャビネットがPRO版でしか使うことが出来ないモデルがある点(iOS版のEXPANSION PACKに相当)。また、PRO版では前述したアンプマッチという実機アンプのキャプチャー機能(アンプの音をコピーして再現する)があり、この機能を使ってプロが自分のアンプや名スタジオのアンプからキャプチャーしたモデルをクラウド上にシェアしてありダウンロードする事が出来るので、全ての機能をフルに活用したい人はプロ版をお勧めする。

デモ版ではこのクラウド上のモデルの試奏を含めて製品を試す事が充分にできる様になっているので、気になる人は購入前にデモ版を使ってみるのもお勧め。

下の画像はクラウド上でシェアされているFASTBACK STUDIOでアンプマッチされたアンプ。

プロのミュージシャンやユーザ達が作ったプリセットをダウンロードできるサービスはどの製品でも見かけるが、この様に有名スタジオのアンプをキャプチャしてシェアするサービスはなかなか面白いし、実際どんな音がするのかかなり気になる。

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アンプ例

  • Vox AC30
  • Blackface Fender
  • ’59 Bassman
  • JTM 45
  • ’68 Plexi
  • ’72 Super Lead.

キャビネット例

  • Custom Fastback 2×12 w/ Celestion Creamback G12H-75
  • 1969 Marshall 4×12 with Pre-Rola Speakers
  • Hiwatt 4×12 with Fane speakers
  • 1×12 Jensen Combo speaker
  • combo 4×10 Jensen Alnico

収録マイク

  • Shure SM57

 

最近はブルースを引くことが多いので、個人的にはBlackfaceが良かった。

それからBIASのレイテンシーについてだが、自分の環境(MacBook pro Retina 13-inch, Late 2013 メモリ16GB、iPhone 5s)では不具合を感じる事は滅多にない。
強いて言えばiPhoneでのみ他のアプリと併用した場合にメモリ不足を感じる事が稀にあるといった具合。

どうやらPOSITIVE GRID JAPANからBIAS DESKTOPのリリースニュースが流れている様で、既出の製品と何が違うのかよく分からないが、価格が日本円での設定となっており明らかに国内出荷用という感じがするので、もしかすると日本語ローカライズされた製品かもしれない。

今後の希望としては、iOSの様にBIAS DESKTOPをJAM UPと連携させ、JAM UP側でエフェクターと併用してのプレイが出来る事を望んでいるので、是非ともJAM UP DESKTOP のリリースを期待している。

これに同社から発売予定のBT-4を揃えれば、かなり満足なプレイ環境が構築できるのだが・・・

しかしBT-4、いつ発売されるのやら。

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