LINE6のSONIC PORT VXの使用感、音質についてレビューしてみようと思う。
比較対象となるのはこれまで使用していたFlanger FC-20。

そもそもの相違点として、デジタルポート入出力(SONIC PORT VX)とアナログポート入出力(Flanger)という違いがあるので、SONIC PORT VXとFlangerの音質云々という以外にデジタルとアナログのインターフェイスの差が結果として大きく出ているとも思われるが、その辺も加味して読んで頂ければと思う。(アナログ・デジタルの違いと表現するのは正しくないと思うが、面倒なので以下そう表現する)

まず使用環境について触れると、いつものストラト(FENDER ROAD WORN® ’60S STRATOCASTER)→ SONIC PORT VX → iPhone5s(BIAS & JAM UP)という構成で、SONIC PORT VXの1/4” バランスステレオ出力の左チャンネルからモノラルでギターアンプのインプットに繋ぎ、アンプからの出音を確認している。

アンプはROLAND GC-405という古いトランジスタで、別売の外部キャビネットを併用して小型のスタックタイプで使っている。
スタック時で約40W相当の出力。同時にBluesCubeというモデルが同社から出ていたが、こちらの方が有名かも。

自分はソフト・ハード問わずモデリング系のツールを使う事が多い為、アンプに入る前の段階で最終出音までの音を作り上げる感覚になる。なんで、アンプそのものの個性が出てしまうと接続したアンプの特性が加わり音質が変わってしまう為、アンプはあくまでもPA的な位置づけで使えるものがありがたい。

そういう意味では、JAZZ CHORUSの様に比較的フラットで安定した出音のアンプが重宝する。また、普段JCをターゲットに音作りしておけば、どこのスタジオでも再現できるし、自宅のGC-405はJCライクに使えるので、今のところこの環境で不足はない。

(本題から外れるが)もちろん本当はアンプが欲しいのだが、現実的に考えると結局アンプを買ったところで、良い音を出す為にはそれなりのボリュームで弾かないといけない訳で、部屋に防音工事をするか高価なアッテネーターをかまして出力を下げない限り、自宅のアンプで本当に良い音を鳴らすなんて難しいんだよね・・・
ヘッドホンで聞いたら意味ないし。じゃ、宝の持ち腐れじゃん、みたいに思えてしまう。

そう考えると、シミュレータという存在はかなり重宝するし、昨今のものは「デジタル臭い」とか「所詮・・・」という言葉で軽視する訳にもいかない程に完成度が高くなってきた。(ここまで言えるのは自分が知る限りではBIASだけか?)

何より「買えない」様々なアンプを弾けるのが夢の様だし、BIASはアンプそのものを作れるからね。音も使用環境さえ良ければそこら辺の実物より相当「アンプ」な音がする(笑)。

なので、実物のアンプを追求するのは「自宅で爆音を出せる」様になってから。
こんな事が言える現在はホントに恵まれていると思うね。
POSITIVE GRIDやLINE6には感謝!

いつもの様に話しがそれてしまったが、本題のSONIC PORT VXのレビューに移ろう。

音に関してまず最初に感じたのは、かなりハイファイ感が増すという事。
アナログとデジタルの差だろうが、特に高域が相当クリアになる。
結果、これまでFlanger FC-20で作りこんだセッティングでは、高域が強く硬さが増した感じになるのだが、これはシミュレータが出す本来の音により近づいた事は間違いなく、再度作り込みが必要。

とにかく「インターフェイス部での音質劣化」を感じさせないクリアさとローノイズを十分に実感できる素晴らしい製品である。
今回アナログからデジタルに変えた理由のひとつに「ノイズ」があったのだが、これは期待通りかなりノイズが減り、セッティングによってはノイジーで「使えない」と思っていたアンプも問題なく使える様になった。

また音質がクリアになった事で、当然歪の感じも変わる。
特にクリーン〜クランチはピッキングの微妙な加減が音を左右するので、この辺りはFlanger使用時の音とは全く別物のアンプを使っている様な差が出る。

SONIC PORT VXを使って出す音は、これまでBIASに感じていた「これはもうアンプだな!」みたいな感動を更に格上げして「下手なアンプでは勝てないかも」という更なる魅力を感じるものとなった。

今回はMacに接続できる様になったので、気になっていたBIAS DESKTOPも試してみたのだが、いやぁ、これね、もうヤバイです。セッティングが決まった時は、アンプから出てくるその音の生々しさと色気はかなりの説得力があり、何時間も弾き続けていたい感動を味わう事が出来た。

ひとつ残念なのは、Macの場合JAM UPを使う事ができないので、エフェクターを掛けるといった使い方ができないのだ。
もちろん他アプリのエフェクトやフィルターは使えるだろうが、JAM UPのエフェクトモデリングの音質と操作感が気に入っているので、是非ともJAM UP DESKTOPをリリースして欲しいと願う。

SONIC PORT VXのマイクはまだきちんと試していないが、軽く使った感じだとなかなかの高音質で、高域から低域までクリアに捉えてくれそう。

コンデンサーマイクが3基搭載されており、ステレオとモノラルの切替ができるが、モノラル時はギター入力と同時にマイク録りなども出来る。

レイテンシーも問題なし。

電源はバスパワー駆動なのでiOSデバイスやMacのバッテリーを消費するが、 SONIC PORT VXにUSBパワーサプライを接続すれば、逆にiOSデバイスへの給電が可能なのでこれは有難い。

サンプル音源なども上げていきたいと思うのだが、取り敢えず今回はこの位で。

最後に付け加えると、今回異なるインターフェイスでの音質の差を体感して改めて思ったのだが、様々なハードやソフトの評価を行う場合、出来る限り使用環境(インターフェイスやケーブルなどの使用機材、電源環境、ノイズ対策環境、ギター)は良い環境で評価を行うべき、という事。

当たり前の事だが、特にインターフェイスの差は顕著に出るので、それぞれの能力を100%に近い環境で体感する為にも、インターフェイスは出来る限り良いものを!
とお勧めして締めようと思う。

ではまた。